研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、日本においては日本労働組合総連合会(連合)、ドイツについてはドイツ労働総同盟(DGB)を分析対象として、1990年代に進展したパートタイム労働の拡大と言う労働市場の変化に対応する労働組合の雇用政策や組織構造の変化についてジェンダー視点から分析することである。分析から明らかになった点は次の通りである。1990年代の不況の中、パートタイムが拡大するという労働市場の変化は、正規雇用/標準的労働者を対象としていた連合とDGBそれぞれの運動・政策内容の前提を揺るがすこととなった。その大きな変化は、それまで各女性部が中心となり取り組んできたが、ジェンダーの視点の入ったフレームワーク形成へと労働組合組織全体で取り組みを開始し、労組組織のあり方をはじめ、雇用政策、均等待遇、「労働」の見直しを開始したことである。パートを考慮したジェンダー・センシティブなフレームワーク作りは、日本では1990年代後半に、ドイツでは1990年代半ばにでき上がった。日独において時期のずれがあるにせよ、これは「女性政策」から「ジェンダー政策」への転換を意味している。本報告において労働組合の未来のために指摘できるできる点は、両国においてジェンダー政策を進め、より魅力的な均等待遇を含めた労働協約が必要だということである。時間比例や同一価値労働同一賃金の均等待遇原則をもとにした労働協約の見直しである。これは雇用の場のみならず、アンペイドワークの領域までも含めた「労働」の見直し、労働者の生活を取り巻く社会保障の領域をも含めた包括的なジェンダー政策を提示するものでなければならない。ドイツは個人加盟ゆえに、パート労働者を引きつけるより魅力的な内容の政策が必要である。本研究の成果の一部は、国際労使関係学会(ベルリン自由大学、2003年)において発表し、またドイツの学術雑誌Industrielle Beziehungenに発表した。
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すべて 雑誌論文 (12件)
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