研究概要 |
1 ナショナルジェンダーマシナリーの構造・機能・問題点 (1)政府、議会、独立機関、市民社会という4セクターによって構成される南アのナショナルジェンダーマシナリーは,制度的骨格としては確立されたものとなっている。 (2)しかし、実際には,本来調整機能を有すべき女性の地位室(OSW)が、十分な機能を保持しておらず、また、ジェンダー主流化の実施主体である各省のジェンダーフォーカルポイント(GFPs)の連携メカニズムや内部プロセスがうまく作動していないため、その実効性は、必ずしも確保されていない。両者ともに、政府・省庁内での位置づけ、人的資源、専門性、予算の確保、コミュニケーション構造などに問題がある。 (3)CGEは南アの国内本部機構に独自な法定独立機関であるが、独立性の確保および多岐・多量な任務に比した財政的・人的資源不足という問題に恒常的に直面している。 2 南アの女性政策(ジェンダー平等性政策)の基礎となる「女性のエンパワーメントとジェンダー平等のための南アフリカ国家政策枠組」は包括的なものとなっており、中央政府だけでなく州政府の枠組も計画している点は評価できる。しかし、この枠組が現実にどの程度効果的に機能するかは、各省・各部局のGFPsが、その力量をどの程度高められるかにかかっている。 3 ジェンダー監査が明らかにしているように、ジェンダー管理システム(GMS)の4局面のうち、GMSを可能にする環境とGMS構造は形成されているが、GMSのメカニズムおよびGMSプロセスは未発達のままである。 4 全体として、女性の議会への進出度等に見られる政治的意思の高さが、行政的意思に反映されておらず、ジェンダー主流化に向けた行政システムの確立には至っていない。従って、そのまま日本に適用すべきモデルとなるまでには未だ至っていない。
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