ニュータウンにおけるジェンダー変容

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13837036
• 研究機関: 京都文教大学
• 研究代表者: 西川 祐子 京都文教大学, 人間学部, 教授 (50183538)
• 研究分担者: 鵜飼 正樹 京都文教大学, 人間学部, 助教授 (70192507) ; 杉本 星子 京都文教大学, 人間学部, 教授 (70298743) ; 遠藤 央 京都文教大学, 人間学部, 教授 (10211781) ; 篠原 聡子 日本女子大学, 家政学部, 助教授 (20307987) ; 森 正美 京都文教大学, 人間学部, 助教授 (00298746)
• キーワード: ニュータウン / ジェンダー / 階層分離 / 高齢化 / 少子化 / ネットワーク / 公領域 / 私領域 / 共用空間

研究概要

平成14年度は、1)具体的な個別調査研究の本格的着手と、2)研究資料のデータベース化、3)最終年度にむけての理論的可能性についての討論などをおこなった。全体研究会は3回実施した。
第1回研究会は5月10日から12日に実施。公団ニュータウンの未来像を考えるために、幕張パティオスと東雲キャナルコートを見学し、さらに公団住宅の原点を考えるために、松戸市立博物館の見学と常盤平団地の調査をおこなった。
第2回研究会は・7月5日-7日に実施。国際比較の視点を取り入れるため、国立民族学博物館の「ソウルスタイル」の展示見学と、建築・都市計画専攻の韓国人留学生らと意見交換を行った。またデータベースのキーワードを作成した。
今年度後半は重点を個別研究に移した。西川と森は、向島ニュータウンと槙島グリーンタウンの住人たちの本格的な個別インタビューに着手。遠藤は、日本のニュータウンの歴史と都市論の系譜をおさえ、日本とマレーシアのニュータウン建設の経緯を比較検討。杉本は、前半は団地マンガの表象分析、後半はイギリスのニュータウン見学と資料収集を実施。鵜飼は、ニュータウンを男性の視点から捉えるためのインタビューを開始。豊田は、高蔵寺ニュータウン藤山台のまちとしての現状と問題点について、自治会活動などに注目しながら調査。篠原は、団地の共用空間の設計時の計画と現状について、東京都赤羽台団地などでの調査を実施、槙島グリーンタウンのインタビューにも参加した。
第3回研究会は、2月21日-23日に実施した。住宅公団に永年勤務された佐藤信武氏を招き、「個人史からみたニュータウン」と題する講演をお願いした。その後、分担者各自の研究経過報告をおこない、最終年度の計画を練った。
一方で、年度末までに355点のニュータウン関連資料の収集とデータベース化を終えた。さらにニュータウン研究の新たな理論的可能性を整理した詳細な中間報告論文(西川・杉本・森 2003)をまとめた。

研究成果

• [文献書誌] 西川 祐子: "老いること住まい"現代思想. 30巻7号. 114-118 (2002)
• [文献書誌] 西川 祐子: "ニュータウンからの問い"現代思想. 31巻1号. 104-114 (2003)
• [文献書誌] 西川祐子, 杉本星子, 森正美: "「ニュータウンの人類学」の可能性"人間・文化・心京都文教大学人間学部研究報告. 第5集. 65-86 (2003)
• [文献書誌] 篠原 聡子: "雑貨としての住宅"新建築住宅特集. 5月号. 153 (2002)
• [文献書誌] 篠原 聡子: "トンドの中庭"新建築住宅特集. 7月号. 155 (2002)
• [文献書誌] 篠原 聡子: "「大塚女子アパートメント」という境界"新建築住宅特集. 9月号. 153 (2002)
• [文献書誌] 篠原 聡子: "「団地up down」中澤光啓"新建築住宅特集. 10月号. 148 (2002)
• [文献書誌] 篠原 聡子: "林雅子の建築が否定したもの"新建築住宅特集. 11月号. 153 (2002)
• [文献書誌] 篠原 聡子: "小さな住宅"新建築住宅特集. 3月号. 153 (2003)
• [文献書誌] 篠原聡子, 大橋寿美子他 編著: "変わる家族と変わる住まい-"自在家族"のための住まい"彰国社. 254 (2002)
• [文献書誌] 篠原 聡子 編著: "生活文化論"朝倉書店. 171 (2002)
• [文献書誌] 西川 祐子(坂田聡編)共著: "日本家族史論集12 家族と住居・地域"吉川弘文館. 380 (2003)
• [文献書誌] 西川祐子, 鵜飼正樹, 遠藤央, 杉本星子, 森正美 他著: "京都フィールドワークのススメ あるく・みる・きく・よむ"昭和堂. 204 (2003)