研究課題/領域番号 |
13838001
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
眞柄 泰基 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60083739)
|
研究分担者 |
大野 浩一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00322834)
亀井 翼 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70001998)
|
キーワード | ヒ素 / ホウ素 / 凝集沈澱処理 / 下水処理 / 都市水循環システム |
研究概要 |
平成13年度の研究においては、豊平川上流部の河川調査によりヒ素・ホウ素の河川への負荷量のほとんどが定山渓の温泉水由来であることを明らかにした。また、ヒ素が豊平川上流で浄水場に取り込まれてからの上水道・下水道システム全体における挙動を推定した。 本年度は昨年度の結果を受けて、豊平川流域の地下水調査、河川調査結果の詳細な解析、およびヒ素・ホウ素の健康リスク低減対策についての検討・費用の試算を行った。 昨年度の下水調査において、ヒ素を含んだ地下水が下水管へ流入しヒ素負荷量が増えることが示されたため、地下水中のヒ素濃度調査を行った。その結果、札幌市内24カ所の地下水のうち最大4カ所において10μg/Lを超えるヒ素濃度が検出された(最大値は約20μg/L)。また、数回の調査ではヒ素が高濃度で検出される地点にほとんど変化がなかった。 また、豊平川上流の河川調査結果を詳細に解析し、浄水場原水におけるヒ素・ホウ素濃度は河川流量または塩素イオン濃度によって推定可能であることを明らかにした。浄水場においてヒ素・ホウ素濃度を常時測定することは難しい。これら簡単な指標によりヒ素濃度を推定できることは、強化凝集処理のタイミング決定などに役立つと考えられる。ただしこの結果は、豊平川のヒ素・ホウ素・塩素イオンのいずれもが温泉水に由来していることによる。よって、他の流域に直接適用可能とは言えない。 最後に、浄水の目標濃度としてヒ素2μg/L、ホウ素0.2mg/Lを設定し、これを達成するための対策の検討と費用の試算を行った。強化凝集対策は費用4.7円/m^3であるが、ホウ素の目標達成ができなかった。RO膜処理は目標達成できるが、費用51.4円/m^3と高くなる。健康リスク管理の観点のみから言うと、豊平川に導管を掘り定山渓温泉地域を迂回させる方策が費用2.3円/m^3で目標達成ができ、最も安価であった。また、ヒ素・ホウ素を含まない原水を導入する方法も4.1〜6.2円/m^3で目標達成できることが示された。
|