研究概要 |
本年度は,2001年8月〜9月にかけて,ミャンマー国の現地調査を実施した。現地調査においては,第一に研究打合せとして,主に農業かんがい省土地局へのヒアリングをとおしてミャンマー国の土地利用管理体制,資料整備・利用可能性の実態等の確認と研究協力に関する依頼を行った。次に,農業かんがい省土地局マッピング・コンピュータ部実務担当者との連携の下に,研究対象とする地域を検討し,地理的条件および資料収集の利便性等を参考に,レグー地区をモデルとして選定した。さらに,クウィンマップ・一筆作付け記録等の必要資料・データの収集,精度の検討,現地調査を実施し,GISの構築可能性に関して検討,打合せを行った。研究の第一対象となるモデル地区は,約200クウィンからなる地域で,郡(Township)の数は20以上となるが,基礎資料となるクウィンマップ,一筆作付け記録および群単位の基本統計に関しては基本的に収集を完了した。これらのデータベース化とGIS構築に関しても土地局に依頼し,最終確認として局長との協議およびレターの交換を1月に完了した。 一方,GISを用いた分析に関しては,まず農業かんがい省土地局マッピング・コンピュータ部との情報の共有を目的として,現有のアプリケーションソフトを更新した。さらに,昨年度までに収集していた上ビルマかんがい地域のチャウセ県ミッター郡の3村落区の作付け記録とクウィンマップを用いたGISによる地形,土地利用の分析を試み,農地の利用や水路・ため池等の配置が詳細な土地条件への配慮に基づいていること,年間降雨量が作付け・収穫の面積と分布に影響していること,強制作付けが行われていた1979年とこれが緩和された後の1998年の作付けが著しく異なることなどを示すとともに,土地利用の自然環境調和性,人為により非調和性などを明らかにした。
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