研究分担者 |
井上 隆信 岐阜大学, 工学部, 助教授 (00184755)
篠田 成郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教授 (80187369)
松井 佳彦 岐阜大学, 工学部, 教授 (00173790)
松下 拓 岐阜大学, 工学部, 助手 (30283401)
李 富生 岐阜大学, 工学部, 助手 (10332686)
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研究概要 |
稲作物の安定育成と農作業の労力軽減に必要な水田用農薬は,一方で河川等の水環境中に排出されて水道水源に混入し,長期間の飲用暴露による人体への影響が懸念される.流域内の農薬流出モデルを用いたシミュレーションによって農薬流出特性を予測するためには,地理情報・気象情報等による水分流出データと,個々の農薬化合物の物性・散布時期・散布地域・散布量・水田水管理等のデータが必要であるが,これらのデータ値には常に不確実性がともなう.本研究では,奥入瀬川流域(幹線流路延長約70km,流域面積675km^2)を対象とし,農作業日程の不確実性と農薬化合物の物性データの不確実性を考慮して,水田農薬化合物(シメトリン,チオベンカルブ)の流出シミュレーション予測を行い,1995年度の実測濃度データとの照合を行った. 対象流域を一辺1kmの縦25メッシュ,横55メッシュ,計1375メッシュに分割し,各メッシュ内を5層直列のタンクモデルで表現することによって水分と農薬の移動過程を表現した.各メッシュの水分流出に関するモデルパラメータの入力値は,土地利用等の地理情報データ,降水量等の気象データ,農業用水路・堰等の取水量・放水量データや河川流量データ等に基づいて設定した.水田の水管理・農薬散布時期・散布地域・散布量等のデータに関しては,県内の農作業用カレンダーに基づいて単一スケジュールとして設定した場合と,農作業の不確実性を考慮してモンテカルロ法により田植え日と農薬散布日に分布を持たせて設定した場合について流出予測を行った.農薬化合物の土壌吸着性や生物分解性等のデータの入力値についても不確実性を考慮してモンテカルロ法により分布を持たせて場合についても流出予測シミュレーションを行った.流出予測濃度と実測濃度データを照合した結果,モンテカルロ法を用いて不確実性を考慮したシミュレーションによって,より実測データに近い農薬流出パターンを再現することが明らかにされた.
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