研究概要 |
高松地域における水循環系の解析を行う上で必要なデータの収集とGISを用いたデータベース化を行った。また,不圧・被圧地下水の水位・水質の現地観測を行い,空間的な分布や季節的な変化の実態を把握した。具体的な内容は次のようである。 収集したデータは,標高,土地利用,人口,産業(事業所数,従業員数),水利用(上水・工業用水),気象(AMeDAS等),地下水位(不圧,被圧),潮位,ボーリングデータ等であった。それらのデータはGISを用いて統合管理した。 地下水を対象として水位・水質の現地観測を行った。不圧地下水の水位・水質は65カ所で,被圧地下水の水位・水質は6カ所で,3ヶ月に1回の頻度で実施した。水質に関しては,水温,pH,電気伝導度を現場にて測定するとともに,研究室でイオンクロマトグラフィーにより各種イオンを測定した。それらの結果より,不圧地下水については以下のことが知られた。すなわち,水位の等値線は標高の等高線にほぼ平行となること,水位は夏期に最高,冬期に最低の値をとり,その差は1〜2mであること等を明らかにした。イオン分析結果をヘキサダイヤグラムで整理したところ,類似の水質を示す地域の存在,大規模な水ミチの存在,人為的な汚染地域の存在等が明らかとなった。また,被圧地下水に関しては,全般的に水位の上昇,鉄分の減少など,被圧地下水の利用に有利な傾向が見出された。 対象地域のボーリングデータ約2千本をデジタル化し,高松地域のデジタル地盤情報図を作成した。また,地下水流動の数値解析に必要な水理定数の推定を行った。 高松地域の水循環系のマクロな特徴を検討した。その結果,被圧地下水の涵養源として不圧地下水からの浸透水の重要性を指摘した。
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