研究概要 |
高松地域における水循環系の現状と香川用水という大規模な導水の影響を把握するために以下の3項目について調査・解析を行った。□ 水収支法による水循環の解析と香川用水の影響の評価,□ 不圧・被圧地下水の水位・水質の調査と香川用水以前の水位との比較,□ 高松平野の地盤情報データベースの構築と地下水流動の解析である。 水収支法によって現在の高松平野での水循環を検討したところ,降水量1100mm,蒸発散量750mm,上流域からの低水流入量574mm,香川用水による導水量474mm,表面流出量215mm,低水流出量495mm,下水排水量333mm,地下水流出量333mmと推定された。また,香川用水の導入および土地利用の変化によって,蒸発散量の減少(約60mm),表面流出量の増加(約30mm),無降雨時に河川系を経由して海に流出する低水流量の増加(約190mm),下水道による排水量の増加(約270mm)が生じたものと推定された。また,地下浸透量は減少(約150mm)したが,地下水の揚水量も減少(約170mm)した。 不圧地下水の水位・水質の調査より,地下水の水位の等値線は標高の等高線にほぼ平行となること,水位は灌漑用水によって徐々に上昇するが,降雨に大きな影響を受けることを明らかにした。香川用水の導入以前と比較すると,現在の地下水位は,農耕地が広がる香東川扇状地の中央部では2〜3m程度上昇し,沿岸部の市街地ではやや低下している。これは水収支法による結果と定性的に一致している。また,地下水質の変化は小さく,灌漑の影響も小さいことが知られた。 高松地域における約1,000本のボーリングデータを収集し,GISソフトウェアを用いて整理した。地盤を沖積層,洪積層,三豊層,基盤岩の4つの地層に区分し,各地層の空間分布や地盤の水理定数の推定などを行った。また,それらを用いて被圧地下水の流動解析を行った。
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