研究課題
基盤研究(C)
亀山は、CGE(一般均衡)モデルのGTAPにより「地球温暖化が農業セクターに及ぼす影響」を検討した。近年、経済発展を遂げつつある中国において、食料の輸入の増加傾向がみられ、諸資源の投入が農業部門から非農業部門に移り変わりつつあるからである。実際に、気候変動は、(1)水資源の潜在的な利用可能性の変動、(2)作物成長へのCO2の直接的影響の変動が、世界の作物生産性に及ぼす影響を検討する意義が重要となってきた。当初、世界銀行の水セクターモデルを元に記述的数理計画法(PMP)への転換を試みたが、現状の農業的土地利用を踏まえるためには引き続き作業が必要である。次に、中国農業科学院、農業経済研究所の胡教授に調査を依頼し、水利用者協会(Water Users Association:WUA)が設立されることにより、現場の農業生産がどのように変化したかについて、利用者へのインタビューによる調査を実施した。亀山は調査票の作成と分析に関わった。従来、トップダウン的に灌漑スケジュールなどが決定されたために作付けの自由度が低かったが、近年、WHAが設立されて、水利用者が自己の経営にとっての灌概の必要性に基づいて灌漑の依頼をWUAに利用の申請ができるようになり、水利用をめぐる制度的な枠組みが幾分、フレックシブルになり、効率的荏水利用が推進されている。渡邊は、まず、中国北部の農業における節水灌概と持続的水利用について、中国水利部、中国農業科学院、農田灌漑研究所の『灌漑・排水』の近年のシリーズに取り上げられている2点の文献を翻訳し、論点を整理した。次に、中国農業科学院(北京)、農田灌漑研究所(河南省新郷市)を訪問し、節水技術、水管理方法による土壌の塩害の発生について環境農学的な研究に取り組んだ。