研究概要 |
花の形態形成遺伝子を解析した成果として、ABCモデルと呼ばれる花の形態形成モデルが提唱され、広く受け入れられている。その後の研究で、特殊な花の形態をしているイネ科の植物にもABCモデルが成り立つことが示され、今では、ほとんどの被子植物にほぼ当てはめることができると言われている。14年度はドクダミについてMADS-box遺伝子の単離と発現解析を行ったが,本年度は同じドクダミ科に属するハンゲショウについて調査を行った.ドクダミは総苞片と呼ばれる花序の基部に白く大きな花弁状の形態をもつ器官がある。これに対しハンゲショウでは花弁状の総苞片は無いが,茎の上部の葉が全体あるいはその一部が白色化する. ハンゲショウの花序から抽出した全RNAをテンプレートにして,5'RACE法によりMADS-box遺伝子の単離を試みた.その結果,8種類のMDAS-boxが単離され,アミノ酸配列に基づく系統解析の結果,AG, AP1,AP3,PI, SEPの相同遺伝子を同定した. さらに,各,相同遺伝子の発現を下部の葉,上部の葉,花序においてRT-PCR法により調べた.その結果,ドクダミの総苞片と同様に白色化する上部の葉ではドクダミと異なり,Bクラス遺伝子であるAP3,PIの相同遺伝子は発現していなかった.この事はドクダミの総苞片の白色花弁化とハンゲショウの葉の白色化は別のメカニズムによることを示唆する.
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