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2002 年度 実績報告書

自然雑種を用いた生態的多型のゲノム解析-水生植物における乾燥ストレスと環境応答

研究課題

研究課題/領域番号 13839009
研究機関神戸大学

研究代表者

角野 康郎  神戸大学, 遺伝子実験センター, 教授 (90127358)

研究分担者 小菅 桂子  神戸大学, 遺伝子実験センター, 助教授 (50215266)
キーワード水生植物 / 表現形可塑性 / 陸生形 / 葉緑体ハプロタイプ / 生態的分化
研究概要

日本産ヒルムシロ属19種の分子系統樹を作成し、生態的特性の分化との対応関係を検討した。ヒルムシロ亜属には3系統群が認識されたが、生育形をはじめとする生態的特性の分化が、各群で並行して起こっていた。このような分化の遺伝的背景を探るために、対照的な生態的特性を持つ近縁種であるササバモとヒロハノエビモの種間雑種と推定されていたオオササエビモを用いて研究を進めた。まず推定両親種を識別する遺伝マーカーを核ゲノムと葉緑体ゲノムの変異の解析により開発し、オオササエビモがササバモとヒロハノエビモの複数回の交雑によって起源したことを立証した。オオササエビモには、ササバモと同じ葉緑体ハプロタイプを示す系統とヒロハノエビモと同じ葉緑体ハプロタイプを示す系統が存在した。
ササバモが顕著な表現形可塑性を示すのに対し、ヒロハノエビモは可塑性を持ち合わせない。そこで、その自然雑種にこのような対照的な特性が、どのように引き継がれているのかを、水位低下時の陸生形の形成能に着目して実験的に調べた。その結果、オオササエビモには陸生形を形成する系統と形成しない系統が存在し、前者は全てササバモと同じ葉緑体ハプロタイプを持っていたのに対し、後者はヒロハノエビモと同じ葉緑体ハプロタイプを示した。すなわち表現形可塑性に見られたオオササエビモの生態的分化は、両親種から受け継いだゲノム構成の差によってもたらされていることが示された。そして、その差にはRibiscoの大サブユニットをコードする遺伝子が関与していることも明らかになった。
今回の研究の目標である陸生形形成を支配する遺伝子(群)の特定とその発現機構の解明には至っていないが、同一雑種における生態的分化とその遺伝的背景の対応が明らかになったことによって、今後の研究の展開に重要な手がかりを得たと言える。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Iida, Satoko: "Genetic diversity and origin of Potamogeton anguillanus (Potamogetonaceae) in Lake Biwa, Japan"Journal of Plant Research. 115・1. 11-16 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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