研究課題/領域番号 |
13839013
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 石巻専修大学 |
研究代表者 |
玉手 英利 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (90163675)
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研究分担者 |
鈴木 英勝 石巻専修大学, 理工学部, 助手 (80306068)
福島 美智子 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (20228894)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | ニホンジカ / 生物多様性 / 遺伝的多様性 / 遺伝子 / 保護管理 / マイクロサテライト / 個体群 / 野生生物 |
研究概要 |
目的:種における遺伝的多様性の維持機構を明らかにするために、ニホンジカの野生集団における遺伝子組成の時間的・空間的変化をミトコンドリアDNAとマイクロサテライトDNA分析によって、調査した。 1 集団レベルの調査:遺伝的多様性が高い集団として、吉野熊野(奈良-三重)、静岡、遺伝的多様性が低い集団として小豆島(香川)、長崎の各地域集団を選び、対立遺伝子の空間的分布を調査した。吉野熊野集団はこれまで調査した中で最も遺伝的多様性が高かった。分集団化している可能性をベイズ統計により検定したところ、吉野熊野は単一集団であり地域内の遺伝子流動が大きいこと過去にボトルネックを経験していないこと、が明らかになった。静岡についても同様の結果が得られた。それに比べて、香川、長崎では集団内の分断化が顕著であった。分断化による遺伝的多様性の低下は比較的短時間(数世代)で起こりうることが明らかになった。 2 個体レベルの調査:あらかじめ血縁関係がわかっているニホンジカ集団として宮城県金華山島集団を選び、個体の繁殖成功度を測定した。その結果、なわばりをもつなど集団内で優位に行動する個体でも必ずしも繁殖成功度は高くない事例が認められた。また、調査地域の繁殖メスが、調査地域外の繁殖オスと交尾してその子孫を残していることも明らかになった。これらの結果は、集団の状況によって、異なる繁殖戦略をとる個体の繁殖成功が高くなる交代現象があることを示している。したがって、少なくとも高密度の条件下では、ニホンジカの個体ごとの繁殖戦略の違いが遺伝的多様性の一律な低下を緩和する効果をもつ可能性があると考えられる。
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