研究分担者 |
太田 啓史 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50223839)
小野 薫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20204232)
中島 啓 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00201666)
加藤 毅 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20273427)
斉藤 政彦 神戸大学, 理学部, 教授 (80183044)
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研究概要 |
1.A無限大構造の巡回対称性.ラグランジュ部分多様体からA無限大代数を対応させる理論を深谷,小野,太田,Y.G.Ohの共同研究で構築しているが,このA無限大代数が巡回対称性を持つことが証明できた.これから,超ポテンシャルという関数が構成でき,変形のモジュライがその臨界点の言葉で記述できる. 2.閉じた弦と開いた元の融合.上記A無限大代数は,ラグランジュ部分多様体を境界に持つ,擬正則円盤のモジュライ空間のを,ラグランジュ部分多様体の上のサイクルを使って切り,その空間の点の数を数えることで,構成される.今年の研究で,ラグランジュ部分多様体が含まれるシンプレクティック多様体の上のサイクルを使って切ることで,構成をより一般化できることが確立された.これは,球面からの擬正則写像を使ったGromov-Witten不変量と我々のA無限大代数との融合への第一歩であり,また,円盤とは限らないより一般の開いたリーマン面からの写像を理論に取り入れる道を開く物でもある. 3.ループ空間との関係.多様体Lのループ空間のコホモロジーは,Lのドラーム複体の巡回コホモロジーと反復積分によって,結びつく.ループ空間のホモロジーには,チャス・サリバン括弧が定められている.ドラーム複体の巡回コホモロジーにもGersteinhaber括弧というリー代数の構造が入り,Lのコホモロジーの変形理論に関わる.反復積分がこの二つの括弧積の間のリー環準同型になることに気づき,それがLがラグランジュ部分多様体の場合に我々が構成してきたそのコホモロジーの量子変形に関わることが分かりつつある.すなわち,変形を定める巡回コホモロジーの双対の元がループ空間のサイクルに持ち上がる.これはシンプレクティックトポロジーに応用がある. 4.A無限大構造の非アルキメデス的収束.ラグランジュ部分多様体Lのコホモロジーの我々の作ってきた量子変形は,Lの第一コホモロジーの元でパラメータつけられる族をなす.ただし,この族は形式的で収束は不明である.しかし,この族が第一コホモロジーの自然な座標の指数関数を変数に持ち,またそうすると一種の非アルキメデス的な意味で収束することを示した.これはホモロジー的ミラー対称性の証明に応用があると思われる.
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