研究分担者 |
中島 啓 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00201666)
望月 拓郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10315971)
山口 孝男 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (00182444)
小野 薫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20204232)
太田 啓史 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50223839)
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研究概要 |
本年度において,1998年から継続して執筆していた著書「Lagrangian intersection Floer theory - anomaly and obstructions -」の10の章のうち, 8章(図をのぞいて約830ページ)を完成した.残りの章についても,既に書かれた原稿はあり,細部のチェックと校正の過程にある.この8章分については,科学研究費Sの報告書の一部として後ほど提出する. 修正の過程で,アーノルド・ギヴェンタールの予想の証明にギャップを発見し,条件を付けた上で修正した. また,帰納的極限を用いて,A無限大ホモトピーを作る議論をより厳密に書き換え,ホモトピーのホモトピーを組織的に使う定式化を行った.これは,族版のフレアーホモロジー構成に有効であると思われる. さらに,ラグランジュ部分多様体の手術を用いて,フレアーホモロジーやA無限構造の例を構成することが,よりいろいろとできるようになり,実6次元トーラス上等に数多くの例を構成した. 時間順序積を用いてA無限準同型を作る構成で必要になるモジュライ空間上の倉西構造の構成を,より詳しく記述する過程で,A無限写像の概念を定式化するのに必要となるn次元円盤のセル分解の幾何学的記述を発見した.また,これとモノイドへのA無限写像の定義に用いられたスタシェフセルとの関係を明らかにした. 今年は前述の著書の完成のために研究時間の主要部分を使ったため,劇的な進展は無かったが,基礎がほぼ確立したことで,次のステップの準備が整った.また,ループ空間を用いたラグランジュ部分多様体研究やミラー対象性の研究,グロモフウィッテン不変量の整数性等,数学的なかみはほぼ完成していながら,論文として細部を書くことをしていなかったものについても,これらを書き上げることが可能になってきている.
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