研究課題/領域番号 |
13852002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西川 公一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60198439)
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研究分担者 |
小林 隆 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (70291317)
中家 剛 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50314175)
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キーワード | ニュートリノ / ニュートリノ振動 / ニュートリノ質量 / 素粒子 / フレーバー |
研究概要 |
本研究の主目的は、長基線ニュートリノ振動実験(K2K実験)で、新型ニュートリノ前置検出器を開発設置し、ニュートリノビームフラックスの精密測定とニュートリノ相互作用の研究を発展させることである。当初の計画で平成14年度は、検出器の中核であるシンチレータの波長変換ファイバー読み出し法の確立、多チャンネル光電子増倍管読み出し用電子回路の開発、試作検出器の性能評価、KEKニュートリノ実験施設への実機検出器の組み込みであった。計画は以下のように予定通り遂行された。 1.試作機を製作し、宇宙線ミューオンに対し20光電子/cmの光量を測定した。これにより抽出型シンチレータの波長変換ファイバー読み出し法を確立した。 2.64チャンネル光電子増倍管専用の読み出し電子回路を開発した。回路には64チャンネルの並列信号を1本の信号線で処理できるLSI(IDE社製のVA/TAチップ)を採用した。 3.ニュートリノ実験施設に実機検出器の一部分を設置し、平成15年1月よりニュートリノデータの収集を開始した。少数統計ながらニュートリノ事象の観測に成功した。またビーム起源の中性子に因るバックグラウンドの定量的評価も行った。 4.ニュートリノデータと共に毎日100万事象の宇宙線データを収集し、検出器の様々な基本性能の評価を行った。また宇宙線事象でもって検出器のエネンルギースケールの較正を行った。 上記の全ての結果は平成15年3月の日本物理学会において発表した。また、K2K実験当初の目的であるニュートリノ振動の解析も併せて行い、物理結果を論文に投稿した。平成15年夏には検出器を全部分を設置し、ニュートリノフラックスの精密測定と、より高精度でのニュートリノ振動の測定を行う予定である。
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