研究課題/領域番号 |
13852002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西川 公一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60198439)
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研究分担者 |
中家 剛 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50314175)
横山 将志 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90362441)
小林 隆 高エネルギー加速器研究機構, 素材研, 助教授 (70291317)
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キーワード | ニュートリノ / ニュートリノ振動 / ニュートリノ質量 |
研究概要 |
ニュートリノ振動の精密測定を行うため、つくばにある高エネルギー加速器研究機構(KEK)で平均エネルギー1.3GeVのミューオンニュートリノビームを生成し、250km離れた岐阜県神岡町に設置されたスーパーカミオカンデ検出器で測定する長基線ニュートリノ振動実験(K2K実験)を遂行した。平成11年度から平成16年度までの計6年間で8.9×10^<19>陽子をニュートリノ生成標的に照射し、スーパーカミオカンデで合計107のニュートリノ事象を観測した。ニュートリノ振動が無い場合には151ニュートリノ事象が予測でき、データはニュートリノ振動によってミューオンニュートリノがタウニュートリノに変換したことを示唆している。また、ニュートリノのエネルギースペクトラムをKEKに設置された前置ニュートリノ検出器とスーパーカミオカンデの両方で測定・比較し、スーパーカミオカンデで観測されたニュートリノエネルギースペクトラムがニュートリノ振動の予想と一致していることを確認した。これらのデータを基にニュートリノ振動解析を行い、ニュートリノ振動が無い確率は0.005%(4.0σ)以下であるという結果を得た。これにより世界で初めて、人工ニュートリノ(加速器ニュートリノ)でニュートリノ振動の証拠を確認した。 さらに、平成15年度に本研究の研究費でKEKに建設した新型前置ニュートリノ検出器(SciBar検出器)でもってニュートリノ・原子核反応の詳細な研究を行った。このニュートリノ・原子核反応の研究結果をもとに、ニュートリノ振動の振動パラメータを精密に決定した。結果は、ニュートトリノ混合角が最大混合である45°、ニュートリノ質量の二乗差が2.8^<+0.8>_<-0.9>×10^<-3>eV^2であった。ニュートリノ質量の二乗差においては、本結果がスーパーカミオカンデの大気ニュートリノ解析の結果と並んで、世界でもっとも高精度な測定である。
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