研究課題/領域番号 |
13852003
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
舛本 泰章 筑波大学, 物理学系, 教授 (60111580)
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研究分担者 |
池沢 道男 筑波大学, 物理学系, 助手 (30312797)
奥野 剛史 筑波大学, 物理学系, 講師 (70272135)
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キーワード | フォトンエコー / ヘテロダイン検出 / コヒーレンス / 位相緩和 / 励起子分子 / 量子ビート / InP量子ドット / GaAs量子ドット |
研究概要 |
<ヘテロダイン検出フォトンエコー測定による量子ドットの研究> 自己生成量子ドットはレーザー、メモリー、スイッチ、単光子素子、量子計算などへの応用が期待されているが、これらの性能にコヒーレンス時間は極めて深く関わっているので、この観点からもコヒーレンス時間測定は必要である。今年度、ヘテロダイン検出フォトンエコー法を開発して、単層のInP自己生成量子ドットおよび単層の歪み誘起GaAs量子ドットの位相緩和測定に成功した。この方法は、2光束のレーザーパルスに100MHz程度の2つの周波数が異なる高周波で変調をかけ、この周波数の結合周波数成分でフォトンエコー信号を検出する方式で従来のフォトンエコー測定に比べ1桁半の感度を有することが明らかになった。これによれば、単層の量子ドットわずか量子井戸換算で1モノレイヤー程度からのフォトンエコー信号が検出できる。見えてきた現象は、パウリブロッキング、正孔のトンネリングおよび励起子分子束縛エネルギーの次元性である。 <量子ドットのスピンサブレベル、スピン緩和機構の研究> 歪みにより量子井戸中に形成されたGaAs量子ドットと自己形成されたCdTeおよびInP量子ドットを対象として、電場印加、磁場印加しながらサイズ選択ピコ秒ポンプ下で発光スペクトルを測定し、これを時間分解することにより電子・正孔、励起子のスピンに関する量子ビートを観測することで、サブレベル分光を行い量子ドット中のスピンサブレベル、スピン緩和機構の研究を行なった。この研究から、歪み誘起GaAs量子ドット中の電子のg-因子は等方的で0.17、正孔のg-因子([001]-成分)は0.34、励起子のg-因子([001]-成分)は0.51と求まった。また、InP量子ドット中の電子のg-因子は等方的で1.5と求まった。
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