1.現号機(MIRRORCLE-20)のX線ビームを用いた実験研究 1)MIRRORCLEのビーム特性研究を本格的に実施した結果、放射光とは異なる新たな特質が明らかになった。指向性が高く、光源点が小さいという点で放射光のようであるが、放射光よりさらに光源点を小さくできる可能性が示された。ターゲットサイズを小さくしても、X線強度は減衰するどころか、増加が見られた。 2)従来、Brillianceを10^8光子と見積もっていたが、ピークBrillianceという概念を導入すると現号機でも10^<12>光子と推定される。さらにターゲット厚さに関わるミクロピークBrillianceで考えるならba放射光を凌ぐ。Brillianceは入射器のピーク電流値に関わることから、2号機であるMIRRORCLE-6Xでは100倍向上する。従って、新しいX線発生機構は、光量のみならずBrillianceにおいてSpring-8を凌ぐことのできるX線発生機構となった。従来のX線源は特性X線を使用しているので、本光源は、制動放射を利用する初めての実用光源である。 3)この結果はビームのコヒーレンスに直接関わっている。なぜMIRRORCLEで、蝶のような軽元素で出来た組織のイメージングが可能であるかが明らかになった。それは、屈折による位相シフトではなく、白色光であることによるX線のエネルギー干渉によるものと結論された。 4)ターゲットの種類、構造、伝導性、結晶性を変えて様々なデータを取得した結果、制動放射だけでは説明の出来ない新しい現象が観測された。詳細はまだ発表できないが、遷移放射、パラメトリック放射、チェレンコフ放射を含めた複合的な理論の再構築が必要になっている。 5)イメージングでは、ターゲットをさらに微少にしたことで、精細度を上げることが出来、非破壊検査装置としては実用になった。医療診断用としては、フィルムの適正や、医療被曝の問題を今後検討して行く。 2.X線発生専用器MIRRORCLE-6Xの設計製作 1)6MeVシンクロトロンの磁場設計とビームダイナミクスを完了した。リングを外形60cmφまで縮小するのに新しい技術を導入した。アクセプタンスをさらに大きくすることができた。 2)入射器はマイクロトロンとし、磁石及び加速高周波系を製作完了した。ピーク電流値は100mAの設計である。 3.光蓄積リング型レーザー発振実験準備 遠赤外線の計測に初めて成功。ターゲット無しで10msの寿命を確認した。レーザー発振のためのMIRRORCLE-20の改造方針を確定した。
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