研究課題
卓上型放射光装置であるみらくる6Xが完成して、その利用研究が進展したことと、みらくる20を遠赤外線専用マシンに転換したした結果、光蓄積リング型レーザーの発振が観測されて、コヒーレント光の特性を明らかにする研究が進展したことがH17年度の成果である。また、安定した遠赤外線ビーム供給が実現し、利用研究も進展した。個別の成果を以下に述べる。1.みらくる6Xに関する研究成果入射技術の向上や入射器のビーム品質向上により、蓄積電流値を増大し、バックグランドを減少させることができた。X線強度は、10E09光子Brightnessという放射光並を達成した。X線品質の特性を詳細に計測した結果、微少光源点による屈折コントラストが顕著で、特に拡大撮像において拡大率が大きくなるほど顕著になることが判明した。みらくる型放射光によるX線撮像は、高解像度、高コントラスト、高倍率拡大撮像により放射光やマイクロフォーカスX線源を凌ぐことが明らかになった。これらの成果は、医療診断や構造物の非破棄検査で新しい境地を開くこととなった。拡大撮像では70倍に成功したが、それは、光学素子無しでX線顕微鏡を実現できる期待を持たせる。ターゲットに結晶を用いて13keV単色X線を出すことに成功した。X線強度は、10E10光子Brightnessであり、蛋白質構造解析をラボで実施する道が開けた。0.5μmのAl薄膜をターゲットに用いて1keV軟X線放射を発生することに成功した。強度は0.4mWであった。この結果はみらくる20SXを用いれば1Wオーダーが出ることを示しており、小型装置によるX線リソグラフに道を開いた。制動放射メカニズムと自由電子レーザー原理から新型X線レーザー(Coherent Brems.X-ray Laser)の発明に至った。2.みらくる20に関する研究成果昨年、光蓄積リングレーザー発振の兆候を観測したので、その特性を様々に研究した。レーザー発振により、Siボロメター出力が60msecに渡り継続するが、光共振器が無い場合には、10msecで有った。ミラーの有無で出力の比をとると時間スペクトル上に3つのピークが出現した。FTIRを用いて分光した結果、レーザー発振は広いバンド幅で起きていることが明らかになった。発振光はコヒーレント放射に近いものであることが明らかになった。遠赤外線強度は、放射光のそれと比べて明らかに強い物であり、利用上の価値が大きい。ステップスキャン型FTIRを導入して、水や蛋白質の吸収分光、皮膚癌の2次元マッピング等を実施することができた。ルーチンオペレーションが可能となり、外部との共同研究が進展している。
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Proc.XRM2005 Int.Conf., Himeji Japan, (In press)
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