研究課題/領域番号 |
13852009
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鳥海 明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50323530)
|
研究分担者 |
喜多 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00343145)
弓野 健太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (40251467)
|
キーワード | 高誘電率絶縁膜 / High-k膜 / HfO2 / Y2O3 / 遠赤外特性 / シリケート / 光学フォノン / 界面層 |
研究概要 |
本研究課題実現のために、以下の二点について研究を行った。 (1)シリコンと高誘電率絶縁膜の界面制御の研究。高誘電率膜としてHfO2を取り上げ、界面酸化膜(SiO2に近い)の成長機構に関する研究を昨年から引き続いて行った。界面酸化膜の成長に関しては、面方位依存性はない、上層HfO2膜厚依存性はほとんどない、酸素分圧依存性はほとんどない、など多くの興味ある傾向が見つかった。この界面層の赤外吸収を行ったところ、膜厚依存性を含めてほとんど熱酸化膜のストレッチング振動と同一であった。 更に、界面制御の研究として、界面にSiO2が成長しない可能性があるY2O3系に関する研究をスタートした。Y203はSiO2と接することで1000℃程度の高温でシリケート化していくことがわかった。ただし、酸素が含まれる条件であると界面SiO2の成長がシリケート化にまさり、SiO2の成長と上層シリケートが同時に起きてしまうことがわかった。今後は、熱処理条件をつめるとともに、電気的な特性として界面がどのように変化するか、使用に耐えられる界面であるかなどを調べることで、サブ1nm等価酸化膜厚実証を進める。 (2)バルクHfO2の遠赤外吸収特性の評価。高誘電率膜の高誘電率性は低エネルギーの光学フォノンの存在から来ている場合が多い。そこで、フォノン特性を調べるためには遠赤外の特性を調べる必要がある。HfO2、Y2O3の遠赤外特性を熱処理温度を変えながら詳細に調べた。HfO2の場合には、結晶化とともに明瞭な吸収特性が観測されることがわかった。また、HfO2にわずかなSiが導入されることにより遠赤外吸収特性は変化し、メインピークは消失していく。これはシリコンの導入が単にHfO2に対するわずかな変調ではなく、結合レベルで大きく変わっていることを示す。Y2O3の場合には自動的にシリケートが進む結果として、熱処理温度ともに遠赤外特性が大きく変化する。 以上のように、界面層形成機構の解明を基本にして等価酸化膜厚の改善をめざす一方、遠赤外特性に含まれる高誘電率性に関する多くの情報を得つつある。来年度はこれらを統合した形で良質の超薄高誘電率膜の実現をめざす。
|