研究概要 |
1:スピン化学に基づいて,炭素繊維の強度増大機構を探るとともに,炭素繊維の強度のチャンピオンデータの達成を目指した.また,炭素繊維の別の原料であるピッチからの繊維製造工程に磁場を印加して,その配向を調べた. 2:生体材料のhydroxyapatite(HAP)薄膜を強磁場印加条件下で作製し,その配向の可能性とプロセスの最適条件を探索することを目的として研究を遂行した. 得られた成果を以下に示す. 1:炭素繊維 PAN系繊維からの炭素繊維を製造する工程の第一段階の熱処理を5Tの磁場印加の下で行った.次に,磁場を印加しないで第二段階の炭素化処理した.磁場中処理により強度は2倍以上の値を示し,磁場印加が繊維の強度を大きく高めることを見出した.また,タールピッチを磁場中で熱処理することによってメソフェーズ小球体生成が促進されることを見出した. 2:生体材料 HAPの磁場中スリップキャストを行い,次に,無磁場下で焼結した.試料の配向度をX線解析によって調べた結果,磁場と平行の面はa,b面に,垂直の面はc面に配向することを見出した.また,水中熱基板方によってTi上にHAPを磁場印加の下で析出させた場合にも結晶配向することを明らかにした. 今後は,炭素繊維においてはPAN繊維製造の第一段階の紡糸段階に磁場を印加し,あらかじめ配向度を高めた繊維を原料として磁場印加の効果を探る.一方,生体材料の配向制御法の確立と発泡HAPへの本方法の適用の可能性を探る.
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