研究概要 |
1:炭素材の電池等への適用を図る目的で,結晶配向の制御とともに反応制御された炭素粒子の製造を試みた.具体的には,有機物(イソプロピレン)を強磁場中で高温高圧で熱処理することにより,メソフェイズ炭素粒子を効率的に製造することに成功した.また,樹脂中に黒鉛ウイスカーを懸濁させ強磁場を印加しつつ固化させることによって,結晶配向黒鉛-樹脂複合材の作製に成功した. 2:水酸アパタイトとコラーゲンが配向した生体複合材料の作製に関する研究を行った.具体的には,水溶液中で水酸アパタイトが晶出する条件とコラーゲンがゲル化する両条件を整え,強磁場を印加しつつコラーゲン線維軸を配向させるとともに,その表面に水酸アパタイトを配向晶出させることを試みた.得られた試料を偏光顕微鏡で観察しコラーゲン線維軸の配向を確認した.一方,SEM観察、XRD回折およびIR測定によって水酸アパタイトの晶出とその形態および配向性を測定したが,晶出は完全な結晶体ではなく,かつ,その配向の確認は十分にはできなかった.一方,結晶配向させた水酸アパタイトを生体擬似液中に浸漬する実験を行い,水酸アパタイトの析出挙動は結晶面によって大きな差が生じることを見出した. 3:磁場中スリップキャスティングにより交互に配向方向を変え,かつ,一軸積層したセラミックス成形体を作製した.具体的には,Si_3N_4スラリーを強磁場中でスリップキャスティングする際,一軸配向面を所定の傾きに交互に変化させる操作を行いつつ,試料を作製した.得られた試料を焼結しSEM観察およびXRD回折し,積層状態と配向状態が所期の予想に合致することを確認した.また,その機械的強度をベンディング法にて計測した. 4:熱電材料Bi_2Te_3の特性向上のために,Bi_2Te_3粉末を溶媒中に懸濁させ磁場中でスリップキャスティングして成形体を作製した.次に,この焼結体の熱電性能指数を計測した.その値は4.08×10^<-3>K^<-1>で,これまでに報告されたものの中では最高値である.
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