データマイニングによる高度自己管理機構を有す次世代ストレージアーキテクチャの確立

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13852015
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 喜連川 優 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40161509)
• 研究分担者: 根本 利弘 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20272510) ; 中野 美由紀 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (30227863) ; 横田 治夫 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (10242570) ; 吉田 浩 富士通株式会社, FS事業本部・FSシステム事業部開発部, 部長(研究職)
• キーワード: データマイニング処理 / ストレージシステム / アーキテクチャ / ディスククラスタ / オンライン再構成 / ディスクアレイ / 信頼性 / 連続メディア

研究概要

本研究では、高度な自己管理機構を有する記憶システムのアーキテクチャを確立するとともに、年限内に実装を行いその有効性を明らかにすることを目的とする。従来、ストーレッジ空間はサーバ側のファイルシステム配下にあるため、ファイルシステムの改良により、問題解決が試みられて来ていたが、本研究では、サーバ側ではなく、ストーレッジ側にストーレッジ管理機能を実現することを試みる。
本年度は、ストーレッジ側で行う管理として、ディスクで構成するクラスタにおいて、ディスクの追加や故障の際のクラスタ再構成を行う手法、そのようなディスククラスタを用いて並列Webサーバーを構成する方法、およびディスクアレイ構成を前提とした連続メディアデータに対するディスクリトライアルゴリズムに関して研究を行った。
ディスククラスタの再構成に関しては、分散ディレクトリの持つ負荷均衡機構を用いることで再構成のプロトコルを単純化すると伴に、ユーザの戦略に合わせてオンラインで再構成する際のデータ移動の優先順位を変更する方法を検討した。その結果、容量の増減や耐故障処理といった管理をストレージ側で行う優位性を立証した。
また、上記ディスククラスタを用いた並列Webサーバーの構成に関しては、並列Webサーバー間でのデータ共有の方法を、HTTPレベル(プロキシ利用)、ファイルレベル(NFS利用)、およびストレージ側で管理する分散ディレクトリを用いたページレベルの3つについて比較を行った。その結果、ストレージ側で分散ディレクトリでページ単位で管理する方法が効果的であることを示した。
更に、ディスクアレイ構成における連続メディアデータに対するディスクリトライアルゴリズムについては、RAID5のパリティ計算とディスクリトライを組み合わせることで、連続メディアデータに対して信頼性と連続性を保つ方法を検討した。その結果として、ストレージ側で信頼性と連続性を管理することが適当であることを示した。

研究成果

• [文献書誌] Daisuke Ito, Haruo Yokota: "Automatic Reconfiguration of an Autonomous Disk Cluster"Proceedings of 2001 Pacific Rim International Symposium on Dependable Computing (PRDC 2001). 169-172 (2001)
• [文献書誌] 伊藤大輔, 横田治夫: "自律ディスク上の分散ディレクトリの負荷均衡機構を用いたクラスタ再構成"電子情報通信学会,第13回データ工学ワークショップ. C3 (2002)
• [文献書誌] 花井知広, 横田治夫: "自律ディスクを用いたWebサーバーの構成"電子情報通信学会,第13回データ工学ワークショップ. C3-C4 (2002)
• [文献書誌] 戸田誠二, 横田治夫: "ディスクアレイ構成における連続メディアデータに対するディスクリトライアルゴリズムの評価"電子情報通信学会,第13回データ工学ワークショップ. C3-C5 (2002)
• [文献書誌] Hisham Feelifl, Masaru Kit-suregawa: "RING : A Strategy for Minimizing the Cost of Online Data Placement Reorganization for Btree Indexed Database over Shared-nothing Parallel Machines"Advanced Applications (DASFAA2001). 190-199 (2001)
• [文献書誌] 合田和生, 田村孝之, 喜連川優: "並列データベースカーネルDBKernelを用いた高速情報検索処理:TRECデータによる実験"電子情報通信学会第12回データ工学ワークショップ(DEWS2001). 3A-3. (2001)