研究課題/領域番号 |
13852016
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
畠山 力三 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00108474)
|
研究分担者 |
平田 孝道 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80260420)
金子 俊郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30312599)
大原 渡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80312601)
川添 良幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30091672)
田路 和幸 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10175474)
|
キーワード | アルカリ-ハロゲンプラズマ / 超分子構造ナノチューブ / バイアス制御によるイオン照射 / ナノスケール制御 / ナノチューブの構造変形 / C_<60>分子内包ナノチューブ |
研究概要 |
今年度は、超分子構造ナノチューブを創製するためのアルカリ-ハロゲンプラズマ生成用高真空装置の建造・調整と並行に、比較的早く納入された単層カーボンナノチューブ(SWNTs)自動精製用前処理装置により、新機能性ナノチューブを目指したSWNTs中空領域にアルカリ金属原子又はフラーレン分子を注入する予備的実験を行った。実験において、現有設備であるアルカリ金属内包フラーレン形成用アルカリ-フラーレンプラズマ発生装置中に設置されたSWNTsを塗布した基板に、正及び負の直流バイアス電圧を印加してイオン照射を行った結果、以下のことが判明した。 (1)電界効果透過型電子顕微鏡による直接観察を行った。負バイアス電圧を基板に印加してアルカリイオン照射を行った場合、イオン直径の小さいアルカリ金属原子(リチウム、ナトリウム、カリウム)に関しては、観察が非常に困難であることが判明した。したがって、アルカリ金属で最もイオン直径が大きいセシウム(Cs)を用いて同様のイオン照射実験を行った。その結果、基板前面に形成されたイオンシースにより加速されたイオン衝撃に伴って、SWNTsが構造変形(湾曲及び切断)を起こすことが明らかになった。さらに、これらのSWNTs内に螺旋状構造を有する物質が観察された。 (2)基板に正バイアス電圧を印加しC_<60>^-イオンを加速して照射を行った場合には、SWNTsが折れ曲がって切断されているものが多数見いだされ、アルカリ金属イオンの場合に比べて構造変形度が増強されることが分った。さらに、SWNTの切断面から侵入したC_<60>分子を内包したナノチューブが観察された。 以上の結果を総合すると、プラズマ理工学的手法を用いた本方式は、イオンの入射エネルギー及びフラックス量を容易に制御できるため、ナノスケール制御の超分子構造形成に適しているといえる。現在、第一原理分子動力学シミュレーションによる原子(分子)内包SWNTsにおける電子状態の理論計算を実験と並行して行っている。
|