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2003 年度 実績報告書

蛋白質の時間分解構造揺らぎと高速高次構造変化

研究課題

研究課題/領域番号 13853002
研究機関京都大学

研究代表者

寺嶋 正秀  京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00188674)

キーワード高速エネルギー変換 / 光合成蛋白質 / 分子拡散 / 反応ダイナミクス / 蛋白質折りたたみ反応 / 過渡回折格子法
研究概要

蛋白質の構造揺らぎや反応を理解するためには、時間分解でエネルギーや揺らぎの情報を得なくてはならない。蛋白質の反応を物理化学的に研究するための、新しい検出手法の開発を行い、以下のような結果を得た。
1.光子エネルギーを吸収した蛋白質が、そのエネルギーを溶媒へ放出する過程は、光励起蛋白質の基本的な過程であるが、時間分解での観測は困難であった。この問題に対して、ミオグロビンをフェムト秒パルスで光励起した後、ピコ秒での熱放出を検出することに成功して、エネルギーがまず蛋白質部分へ流れ、それから溶媒へ移っていっていることを示す実験的証拠を得た。
2.蛋白質の拡散係数(D)が、反応とともに如何に変化するかを計測できる手法を開発することに成功した。この手法を、チトクロムcという電子移動にかかわる蛋白質の、折りたたみ反応を明らかにするために用いた。折りたたみ反応が起こるときに観測される過渡回折格子信号を解析したところ、蛋白質の構造変化に従ってDが時間変化しているという証拠が得られた。これにより、初めて蛋白質折りたたみ反応における分子間相互作用の時間分解研究が可能となった。
3.昨年度構築したヘテロダイン過渡回折格子(TG)システムを用いて、光合成たんぱく質の構造変化を検出するための試みを行った。過渡吸収ダイナミクスに対応する信号がヘテロダイン過渡回折格子信号にも現れた。これ以外にも、構造変化に対応すると考えられる、屈折率変化が観測され、より詳しい解析により、電荷分離が起こった後の構造変化と揺らぎに関する情報を引き出す予定である。
4.ATPは生命反応のエネルギー通貨であり多くの蛋白質反応に関与する。ATPの関与する蛋白質反応を時間分解熱力学量の観点から研究するために、まず光でATPを作り出すことのできる、ケージドATP光反応を調べ、徐々にATPが遊離する過程を、拡散係数の時間変化として検出することに成功した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] R.Miyata: "Transient thermal expansion of a protein in solution after photo-excitation of the chromophore : deoxymyoglobin"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 76. 1707-1712 (2003)

  • [文献書誌] J.Choi: "Photoreaction of caged ATP studied by the time-resolved transient grating method"Photochem.Photobiol.Sci.. 2. 767-773 (2003)

  • [文献書誌] J.Choi: "Energy and Volume Changes Induced by Photo-initiated Proton Releasing Reaction with Apomyoglobin"Rev.Sci.Instrum.. 74. 319-321 (2003)

  • [文献書誌] R.Miyata: "Photothermal processes on a fast time scale : a small molecule and a biological protein"Rev.Sci.Instrum.. 74. 884-888 (2003)

  • [文献書誌] J.Choi: "Photochemical reaction of 2-nitrobenzaldehyde by monitoring the diffusion coefficient"J.Phys.Chem.A. 107. 9552-9557 (2003)

  • [文献書誌] 寺嶋正秀: "レーザーによる蛋白質機能解析の新技術"医学のあゆみ. 204. 751-752 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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