研究課題/領域番号 |
13853003
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
丸岡 啓二 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20135304)
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研究分担者 |
大本 清之 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50314232)
俣野 善博 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40231592)
大井 貴史 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80271708)
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キーワード | 精密合成 / 不斉合成 / ルイス酸 / 二点配位型 / 不斉アリル化 / キラル触媒 / 相間移動触媒 / L-ドーバ |
研究概要 |
本研究では、次世代の精密有機合成化学の強力な進展に向けて、精密酸塩基触媒の合理的、合目的な触媒設計を行ない、他の反応触媒では及びもつかないような反応性、選択性が獲得できるような、精密合成反応プロセス(触媒的不斉合成も含む)の確立を目指す。すなわち、精密ルイス酸触媒の創製では、本研究室で開発された「二点配位型ルイス酸」の存在に関して、説得力のある確証を得るため、こういった二点配位錯体の分光学的研究、理論計算を行った。続いて、光学活性二点配位型チタン、ジルコニウム触媒が不斉アリル化反応に有効であることを見い出し、更に触媒の改良を計りながら幾つかの不斉触媒反応(不斉アルドール、ヘテロ・ディールズ・アルダー、反応)への適用性を調べてキラル触媒の最適化を計った。また、半球型の特殊反応場を有する各種の有機金属化合物(ケイ素、ゲルマニウム、スズ等)を調製することにより、半球型のシリル基がカルボキシル基のみならず、α-シリルケトンやβ-シリルケトンにおけるカルボニル基の保護能力を実験的に検討した。こういった化合物のX線解析、NMR測定や理論計算等を行ない、芳香環によって形成された半球形の遮蔽および安定化効果を調べた。一方、基質の官能基との精密な分子認識に基づいた精密塩基として、二点配位型塩基に加え、高度に芳香環を有するキラル相間移動触媒を新たに取り上げた。この非金属触媒は、ルイス酸のように金属を使わないという意味でルイス酸の化学と対極をなすものであり、環境調和型の不斉触媒といえる。具体的には、既に開発したスピロ型キラル相間移動触媒を用いて、グリシンエステル由来のキラルアンモニウムエノラートの実用的不斉アルキル反応を行ない、L-ドーパやL-アザチロシンなど各種の生理活性α-アミノ酸をエナンチオ選択的に合成した。
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