研究課題/領域番号 |
13853005
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 猛 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10043324)
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研究分担者 |
井藤 彰 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (60345915)
本多 裕之 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (70209328)
若林 俊彦 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50220835)
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キーワード | 温熱療法 / 温熱免疫 / ヒートショックプロテイン / 交番磁界 / 誘電加温 / ガン治療 / リポソーム |
研究概要 |
粒子径10nmのマグネタイト微粒子を正電荷を帯びたリポソームで包んだmagnetite cationic liposomes(MCL)は、腫瘍に注射すると正電荷のために腫瘍だけに蓄積させることが出来る。この状態で交番磁界を照射すると、正常組織を加温することなく、腫瘍組織だけを加温することが出来る。この加温によって、各種のヒートショックプロテイン、特にヒートショックプロテイン70が生成する。これがガンのペプチド断片をシャペロンし、抗原提示細胞を介して大変強いガン特有の免疫活性を誘導することを明らかにした。また、MCLを使用する温熱療法によって、転移しやすいメラノーマも46℃で二回加温すると完全に退縮出来ることをマウスを使用した実験で明らかにした。また、メラノーマに特有の免疫活性が誘導されて、肺などへ転移しているガンも退縮しており、150日以上にわたって生存することが分かった。我々はこの現象をHeat Immunotherapyと呼ぶことが出来、ガンの治療に大変有用であることを示した。この特性はインターロイキン2の存在によってさらに強化される。 実際の臨床現場では、交番磁界照射装置ではなく、ラジオ波の周波数の交流電流を流す装置が使用されている。この場合には、ガン組織だけを加温することが難しく、正常組織も加温される。しかし、MCLあるいは棒状のマグネタイト微粒子の整形体は、このような加温装置でも使用でき、ガン組織は2ないし3℃だけ高い温度としうることも明らかにした。これは大変重要な発見であり、現在の温熱療法を根本的に変更することが出来る技術となる。マウスを使用した動物実験でこのことを実証した。
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