研究課題/領域番号 |
13853005
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 猛 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10043324)
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研究分担者 |
井藤 彰 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60345915)
本多 裕之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70209328)
若林 俊彦 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50220835)
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キーワード | ヒートショックプロテイン / 温熱療法 / マグネタイト / 免疫賦活 / ガン治療 / HSP70 / IL-2 / GM-CSF |
研究概要 |
平成15年度は実験計画書にしたがって、以下の通りの研究成果を得た。 1.MCL温熱療法の効果を高める治療法の開発 MCL温熱療法が、ヒートショックプロテイン(HSP)を介した免疫賦活メカニズムであるということがわかっているので、そのメカニズムを基にした新しい治療法の開発を行った。 1-1サイトカイン療法との併用 T細胞などのリンパ球を活性化する働きのあるIL-2、あるいは抗原提示細胞を活性化する働きのあるGM-CSFといったサイトカインと、MCL温熱療法の併用効果を検討した。その結果、IL-2およびGM-CSFとの併用によって、それぞれ8匹中6匹および10匹中4匹のマウスメラノーマ腫瘍が完全に退縮した。 1-2熱ショックタンパク質との併用 MCL温熱療法の免疫賦活メカニズムにおいて重要な因子でめるHSPとの併用療法を開発した。まず、HSP70は精製タンパク質標品をマウスのメラノーマ腫瘍へ投与し、MCL温熱療法との併用療法との治療効果を調べた。治療効果は投与したHSP70精製タンパク質標品の量に依存して上がり、併用療法で高い治療効果が確認された。 次に、HSP70精製タンパク質標品の投与の代わりに、遺伝子治療用プラスミドとしてHSP70遺伝子を含むプラスミドを用いる併用療法についても検討し、この場合には高い併用効果が確認された。 2.MCL温熱療法におけるマグネタイトの体内動態と巨大な腫瘍の退縮確認 MCL温熱療法が腫瘍特有の免疫賦活を示すが、基本は温熱療法である。そこで、マグネタイトの体内動態についてマウスを使用して検討した。その結果、大部分は腫瘍部に留まり、一部は肝臓と脾臓に移行するが、10日後には全て体外に排出されることを確認し、安全性が高い素材であることがわかった。また、体長90mmのマウスに直径15mmの腫瘍を作り、このような巨大な腫瘍でも完全に退縮させることが出来ることを確認した。
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