研究概要 |
日本の動物相の起源と系統進化を解明するため,陸生および海生の代表的動物種とそのアジアにおける近縁種の分析試料の収集を中心に研究を進めた.陸生動物では,哺乳類のツキノワグマ,ニホンジカ,ニホンイノシシ,は虫類としては,マムシ類,ハブ類,両生類としては,イモリ類,軟体動物としてはカワニナ類を重点的に日本各地のみならず,中国大陸,韓半島からも収集した.海生動物では,軟体動物のカキ類,アカガイ類,カサガイ類,アワビ類の分析試料を日本およびアジア大陸沿岸から収集した.これらの分析試料からDNAを抽出し,PCRによるDNA断片の増幅と塩基配列決定を進めた.系統解析が進んだツキノワグマの分子系統についてはアジアのクマに関する国際会議で発表した.海生軟体動物のアワビ類,カサガイ類については,その分子系統進化について日本貝類学会で,また3月にイギリスで開催されたカサガイ類の国際会議(Limpet 2003)で発表した.また,琉球列島の固有生物相の起源を解明するために下部更新統の含脊椎動物化石層の発掘を行い現生種の祖先種を含む多様な化石動物群を発見した.また,日本の脊椎動物相の起源を究明するため,ロシア科学アカデミー極東支部の研究者と沿海州の哺乳動物の分子系統学的研究を共同で実施し,日本の集団との比較を行った.一方,中国の新第三系-第四系の哺乳動物化石の発掘および標本調査を行い,日本の化石・現生種との比較研究の為の基礎データの収集を行った.
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