研究概要 |
未来型資源として、メタノールなどのC1化合物やn-アルカンを中心に取り上げ、これらの化合物を利用できる微生物について、代謝生化学・分子生物学・細胞生物学という3つの側面からの総合的理解とその応用利用を目的とした研究を行った。生化学的成果としては、ホルムアルデヒド固定系リブロースモノリン酸経路遺伝子の同定とその普遍性、イソアルカン・ガス状アルカン資化性菌の新しい代謝経路を遺伝子レベルで明らかにした(J.Bact,2004,2005 ; FEMS Microbiol.Lett. 2002)。酵母のホルムアルデヒド・活性酸素解毒経路とその生理的意義について明らかにした(JBC,2001 ; J.Bact,2001 ; Yeast 2004 ; Microbiology,2003)。細胞生物学的成果としては、メタノール資化性酵母を用いてオルガネラ分解の分子機構を明らかにし、新たな膜構造体MIPAの発見とその形成機構・膜動態に関わるATG遺伝子群の同定とともに生化学的機能を明らかにした(EMBO J,2003 ; Mol Biol Cell 2004,2005 ; Dev Cell,2003)。これはオルガネラ内で有用タンパク質を生産するために有用な知見であった。分子生物学的知見としては、リブロースモノリン酸経路を制御する遺伝子群を枯草菌に同定し、ホルムアルデヒドによる遺伝子発現機構と転写因子のDNA結合能との関連を明らかにするほか、タンパク質生産に有用な人工プロモーターを開発した(Mol Microbiol,2005 ; Mol Gen.Genet. 2003)。また酵母を用いたメタノール誘導性異種タンパク質の生産性に関わる遺伝子を複数同定し、得られた変異株などを有用酵素生産系に適用し、活性型タンパク質の高生産に成功した(Biosce Biotechnol Biochem, 2002,2003,2004 ; Appl Microbiol Technol 2002)。
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