研究課題/領域番号 |
13854012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山口 明人 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60114336)
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研究分担者 |
村上 聡 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (30300966)
平田 隆弘 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90333450)
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キーワード | 異物排出タンパク / 発現制御 / 多剤耐性 / インドール / 二成分情報伝達 / クオラムセンシング / 病原性 |
研究概要 |
本研究は、大腸菌異物排出遺伝子を網羅的に研究し、その発現制御機構と生理的意義を解明することを目的として開始した。17年度は、新たに、細胞間情報伝達物質としてインドールを発見し、インドールが異物排出遺伝子の発現を強く誘導することを見出し、その機構を詳しく解析した。大腸菌には、いわゆるクオラムセンシングのうち、菌の生育の最終段階、定常期で働くホモセリンラクトンシステムが欠けている。それにもかかわらず、定常期での発現誘導は大腸菌にもある。私たちの発見は、インドールが定常期におけるクオラムセンシングリガンドとしても働く可能性を示すものと言える。インドールで制御される異物排出遺伝子は確かに菌の定常期において大きく発現誘導され、構成的に発現しているAcrABシステムと並んで、定常期での薬剤抵抗性に大きく寄与することが示された。インドールは、異物排出遺伝子の発現だけでなく、病原性の発現にも関与していることがわかった。インドールは、腸管出血性大腸菌の病原性発現に関与する遺伝子群LEE4領域にコードされる遺伝子群を発現誘導した。また、インドール産生欠損変異株では、細胞への侵入性が低下していることが確かめられた。一方、異物排出遺伝子群も直接病原性の発現と関与していることが示された。すなわち、サルモネラ菌をモデルとした研究では、主要異物排出遺伝子を欠損させると、マウスにサルモネラ菌を経口投与した際のマウスの致死率が大きく低下する。興味深いことに、この毒性への関与は、異物排出タンパクの薬剤排出能とは関連性が低かった。すなわち、最も主要な異物排出タンパクAcrABを欠失させても毒性はさほど低下せず、逆に、薬剤としてはマクロライド抗生物質しか排出しないMacABを欠失させただけで、ほぼ毒性が消失した。このことは、MacABが何か毒性に関連する内在性物質の排出を担っていることを示している。この研究は、菌を殺さずに病原性だけをコントロールすることにより、耐性菌の出現を極小化した抗菌剤の開発の可能性を示すものといえる。
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