研究課題
獲得免疫系の最大の特色は、その多様性および寛容性である。無数の外来性抗原(非自己)を認識し、反応する一方、自己抗原に対して不応答性を示すという(寛容性)、極めてユニークなシステムを築き上げている。この機能を担っているのはB細胞の場合、B細胞レセプター(BCR)である。したがって、BCRを介する抗原認識によって引き起こされるシグナル伝達機構の研究は、B細胞の分化・増殖・細胞死の運命制御機構を解明するための必須の課題である。BCRを介するシグナルの第一段階に、複数のチロシンキナーゼ(PTK)群が関与することは明らかにされてきたが、これらPTK群のみの制御では、多様な運命決定を説明することはできない。すなわち、PTK群によってリン酸化されるターゲット分子群の多様性を考えると、これらターゲット分子群がエフェクター群へのアダプターとして機能し、エフェクターへの変換効率を制御することにより、シグナルの量的・質的変換を司っているのではないかと考えられる。本年度は、申請者らが単離した新規アダプター分子BCAPのファミリー分子であるBANKの機能解明に的を絞り研究を行った。BANK欠損マウスを作成し、この機能を検索した結果、胚中心の形成が非免疫状態においても観察された。また、BANK欠損B細胞では、CD40によるシグナルの増強が認められた。この結果は、BCAPはB細胞活性化にpositiveの役割を担っているのとは逆にBANKはnegativeの役割を担っていることを示している。
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Immunity 21
ページ: 681-691
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 101
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Adv.Immunol. (in press)