研究概要 |
BCRシグナルに関して、アダプター分子群BLNK, BCAP,およびBCAPファミリー分子群であるBANKに的を絞り、アダプター群/エフェクター群間のカップリング機構を明らかにしてきた。具体的には、主として、以下に述べる5点を明らかにしてきた。 1 BCAPはBLNKと異なったメカニズムを用いてPLCγ2活性化をpositiveに制御している アダプター分子BLNKのみならず、もう一つのアダプター分子BCAPもPLCγ2の活性化を制御していることを明らかにした。 2 BCAPはc-Relの発現調節により、B細胞の最終分化を制御している BCAPはNF-κB径路のコンポーネントであるc-Relの発現を調節することによりB細胞の最終分化を制御していることを明らかにした。 3 BANKはBCAPと異なりB細胞の活性化をnegativeに制御している BCAPとよく似た構造を有するアダプター分子BANKのノックアウトマウスを作成し、BCAPはpositive regulatorであるが、BANKは逆にnegativeに活性化を制御し、Bリンパ球の過剰反応を防いでいる分子であることが判明した 4 BLNKはPLCγ2のみならず他のエフェクター酵素Vavを制御している PLCγ2とならんでVavはBCRによって活性化され、B細胞の分化、免疫応答に重要な役割を担っているエフェクター酵素である。Vavの活性化にアダプター分子Grb2,BLNK両者が相乗的に要求されることを明らかにした。 5 BLNKの結合パートナーGrb2はカルシウムをnegativeに制御する BLNKIの結合パートナーGrb2はカルシウムシグナルをnegativeに制御し、BLNKがカルシウムシグナルの開始のみならず、シグナルの終焉にも関与していることが示された。
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