研究概要 |
遺伝子情報のデータベース化については、昨年度までの各種肝臓病情報に原発性胆汁性肝硬変および自己免疫性肝炎の情報を加え、解析手法もlong SAGEおよび3'-SAGE解析を用いて遺伝子解析の精度を高めた。これによって1)世界で最大となる系統的な肝臓病における発現遺伝子データベースを構築した(18ライブラリー、約90万発現遺伝子:公開予定)。2)加えて発現遺伝子情報を有する肝臓病における発現タンパクデータベース(公開予定)を作製した。 これに基づく肝臓病学の確立については従来の成果に加え、1)原発性胆汁性肝硬変と自己免疫性疾患が発現遺伝子プロファイルによって区別されること(Am J Gastroenterol 2005)、両疾患の進行の違いおよび予後の推定が可能なことを示した(J Autoimmun 2005).2)発現遺伝子情報は、肝臓病の正確な分類に留まらず肝臓癌の病態解析や癌特異抗原の同定や治療標的の同定に有用であることを示した(BBRC 2005,Int J Cancer 2005)。3)さらに、インターフェロンの治療効果を予測するチップを開発し遺伝子情報が診断や治療に有用であることを示した(Clin Gastroenterol Hepatol 2005)。 従来の臨床所見や病理変化では重要な異常が見出されない肝臓の病態について検討した。昨年の糖尿病患者の肝臓に加え肥満を有する症例の肝臓における発現遺伝子をしたところ、肥満を有することによってエネルギー代謝は亢進し、糖・脂質代謝は大きく変動することを明らかにした。
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