研究課題
大腸癌および胃癌における遺伝子不安定性、特にマイクロサテライト不安定性とメチル化による遺伝子サイレンシングの関連について解析を行った。その結果、散発性大腸癌でマイクロサテライト不安定性を有する癌の約80%がゲノムワイドなDNAメチル化の異常、CpG island methylator phenotype(CIMP)によるhMLH1の異常メチル化が原因であることを明らかにした。CIMP陽性マイクロサテライト不安定性の大腸癌において、BRAFの遺伝子点突然変異を高率に認め特異なパスウェイで癌化することが示唆された。また、胃癌におけるメチル化の網羅的解析により、ゲノムワイドなDNAメチル化の異常はEpstein-Barrウイルスを基盤とする癌に特徴的であり、EBウイルス関連蛋白によるメチル化制御機構の異常を明らかにした。さらに、WNTシグナルの負の制御因子であるSFRPの異常メチル化がbeta-cateninの活性化において重要な役割を果たしていることを明らかにした。分裂期チェックポイント遺伝子CHFRの異常メチル化が、大腸癌および胃癌において高率に認められることを明らかにした。CHFRの異常メチル化を有する癌細胞は微小管阻害剤に感受性が高く、CHFRの異常メチル化を指標として、抗癌剤感受性の分子マーカーの開発を行った。さらに、メチル異常により起こる遺伝子サイレンシングにピストン脱アセチル化が関与することにいちはやく着目し、DNAメチル化阻害剤とヒストン脱アセチル化阻害剤の併用が消化器癌の治療戦略を考える上で重要であることを明らかにした。
すべて 2005 2004
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