研究概要 |
上皮細胞に誘導されるB7-H1の機能解析 口腔粘膜上皮に誘導されるB7-H1が,口腔粘膜炎症にどのように関与しているかを明らかにするために、角化細胞特異的にB7-H1を発現させたB7-H1トランスジェニックマウス(B7-H1Tg)を作成した.ハプテン抗原を用いた接触性過敏反応において、B7-H1Tgマウスでは、早期の耳介腫脹が遅延するものの後期においては過度の腫脹が認められた.マウス口腔癌細胞において内在性に発現誘導されるB7-H1は、抗腫瘍免疫応答を抑制し免疫寛容誘導に働いていることが示されたが、外来性に強発現させた場合は逆の結果になった.このことは、カウンターレセプターの機能がリガンド発現レベルにより相反する働きをする可能性を示唆している. 歯髄炎モデルマウスにおける免疫細胞動態の解析 マウス歯髄炎モデルを樹立し、新鮮顎骨凍結組織切片を用いた免疫組織染色法を確立した.その結果、CD11^c^+F4/80^-とCD11c-F4/80^+の2種の樹状細胞が歯髄に存在し、両者は切削刺激に伴い早期に刺激部歯髄象牙質境界部に遊走してくることが明らかになった.これらの一部は、CD86分子を発現し、所属リンパ節に遊走する可能性が顎下リンパ節細胞におけるF4/80^+CD86^+細胞の増加から確かめられた.以上の結果から、歯髄においても皮膚や粘膜と同様のDCによる抗原捕獲と所属リンパ節における抗原提示が起こっている可能性が示唆された.
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