研究概要 |
本研究の目的は、我々が最近同定した新しい細胞内脂質輸送(結合)蛋白質ファミリーの機能を解明することを目的としている。 本年度の研究において、まず、我々の研究室で見いだされたビタミンE輸送タンパク質(a-TTP)のノツクアウトマウスを確立し、そのフェノタイプの解析を行った。その結果、この蛋白質が欠損するとほぼ完全なビタミンE欠乏動物となること、そのような動物では雌が不妊になること、その機構は妊娠した雌の胎盤が異常になること、などを明らかにした。また、1年以上経過すると脳神経系に脂質過酸化物が蓄積し神経変性を起こすことなどが明らかになった。 もう一つ、我々の研究室で発見しa-TTPと同じファミリーに属することが分かったスクアレン輸送蛋白質(SPF)についても、ノックアウトマウスを作製していたが、最近、germline通過が確認でき、予定通りに進行している状沢である。ホモは,本年5月頃生まれる予定である。 コンピュータサーチの結果、このファミリーに属する脂質輸送蛋白質は、ヒトで約20種類、線虫で15種類存在することがわかり、それらすべての遺伝子を取り始めた。ヒトにおいては、これらすべての遺伝子全長をとり、その組織分布を調べているところである。線虫では、15種類のうちすでに2種類のノックアウト体も樹立でき、そのフェノタイプを現在解析中である。 以上のように、新しい脂質輸送蛋白質ファミリーは、本研究申請時より大きなファミリーであることがわかり、その網羅的解析を予定通り進めているところである。
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