研究課題/領域番号 |
13854030
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
梶谷 文彦 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70029114)
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研究分担者 |
荒木 淳一 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80271055)
八木 直人 高輝度光科学研究センター, 主席研究員 (80133940)
菅 弘之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90014117)
入部 玄太郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90284885)
清水 壽一郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80294403)
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キーワード | SPring-8 / 放射光 / 冠循環 / 筋線維 / 心筋クロスブリッジ / 3D-microCT / X線回折 |
研究概要 |
心臓は冠循環によるエネルギー供給、心筋内やのエネルギー代謝、特徴的なカルシウムを含むイオン動態さらにアクチン・ミオシンと言った収縮蛋白による化学的エネルギーの機械的仕事への変換という過程が規則正しいリズムで繰り返される臓器である。心臓はこのようにエネルギー、情報、仕事のバランスがよく取れた臓器であり、統合生理学的(フィジオミック)な解析がもっともふさわしいものと考えられる。当面は大きく冠循環と心筋収縮機構についてSPring-8を用いて実験を行う。まず冠循環についてはラットの拍動心のイメージングに成功するとともに、ラット収縮期および拡張期停止心の毛細血管を含む微小血管のマイクロCT像について定量的に解析し、毛細血管ではその容量変化が大きいことからキャパシタンス機能を有すること、細動脈については径変化が大きく容量の変化は少ないことから抵抗血管として機能することをはじめて定量的に示した(Circulation,2002)。また、乳頭筋標本にてクロスブリッジ動態と発生張力との関係を明らかにした。心筋六角格子のX線回折像からミオシン頭部の動きを推測した結果、発生張力と同様の時間的変化が観察されたがそれは必ずしも一意的な関係ではなく、ミオシン頭部がアクチン近傍にあっても力を出していない状態の存在可能性が示唆された。また臓器レベルでの解析では、BDMにより停止させたラットランゲンドルフ灌流心標本を用いて左心室の三次元構造と心筋線維の走行、X線回折像との関係について解析を行い、X線通過部位ごとの回折パターンを明らかにした。この知見に基づき等容性収縮時のX線回折像を解析した結果、予備データとしての停止心標本と比較的よくマッチすることが確認された(SPring-8 User Experiment Report(2001B))。次年度以降、心筋酸素供給と冠循環および筋収縮との関係をミクロの視座から統合的に解析する予定である。
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