1.申請書の「研究計画・方法」になかに記載されている「平成14年度の研究計画」に従って、次の諸点から研究を遂行した。 (1)戦後復興期の英国におけるデザインおよび物質文化に関連した内外の先行研究の解読と分析。(「デザイン・カウンシル」との関連において) (2)ブライトン大学デザイン史研究センター「デザイン・カウンシル・アーカイヴ」所蔵の基礎資料の調査と分析。 (3)主としてヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵の同時期の作品に関する調査と分析。 (4)通商産業省産業工芸試験場等の戦後日本のデザイン振興活動に関する調査研究。(「デザイン・カウンシル」との関連において) 2.上記諸点からの研究調査を通じて、以下の事柄についての知見を得ることができた。 (1)英国政府が、戦後の復興にあたって、インダストリアル・デザイン協議会(のちのデザイン・カウンシル)を設置するに至った、当時の社会的、文化的背景が明らかになった。 (2)その機関の初期の活動(雑誌『デザイン』の刊行、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館での「英国はそれができる」展の開催、「英国祭」への参加)の一端が明らかになった。 (3)こうしたモダニズム・デザインを振興するうえでの初期の活動に対して、異義を申し立てる団体(たとえば、インディペンデント・グループ)の存在が明らかになった。 3.今後の研究の展開 本研究の最終年度である来年は、この2年間で得られた資料、インタビュー・関連文献等を精査し、本研究のテーマにそくして成果をまとめ、学会や研究会等において、順次公表していく予定である。
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