不快情動の体験の開示が、その体験の効果に与える影響について、各被験者の内的刺激希求の傾向との関連において検討した。 女子短期大学生26名(平均年齢18.6歳)を、不快情動の体験を開示しない群(C)、不快情動の体験を筆記開示する群(W)、不快情動の体験を口述開示する群(T)の3実験群に分け、さらに、各実験群において、内的刺激希求尺度の得点に基づき、各実験群の被験者を内的刺激希求度高群(h)と内的刺激希求度低群(l)とに分け、計6群の被験者群を設定した。各被験者群に認知的恐怖を喚起するホラー映画のダイジェスト(30分)を感情喚起刺激として呈示し、各実験群に対応した開示を行わせ、感情パターンの変化を検討した。 その結果、 1 実験条件に関わらず、感情喚起刺激呈示後に「恐怖度」と「不快度」とが増すこと、この傾向は、内的刺激希求度低群に較べ内的刺激希求度高群において顕著であること。 2 非開示群に較べ、開示群において不快情動の体験の改善が認められ、その傾向は内的刺激希求度低群に較べ、内的刺激希求度高群においてやや顕著であるものの、開示方略の違いによる差異は明確には認められなかった。 の2点の所見が得られた。 このことから、不快な情動体験に対する開示の有効性の可能性が示唆されたものと考えられる。 今後は、感覚性恐怖体験との比較や外的刺激希求度と開示方略の有効性との関連性について検討を進める必要があると考えている。
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