本研究の目的は、発達の途上で何らかのリスクを抱える子どもを支援するシステムおよびプログラムをメンタリングという方法を中心に構築し、その効果を検討することであった。メンターを大学生のボランティアとし、地域にある2ヶ所の児童養護施設に派遣するという実践をとおしてシステムの構築と実践プログラム試行的実施および修正後の実施をおこなった。また、学生と入所児との相互作用を記録・分析することを通して、メンタリングの効果を評価した。さらに、このような学生ボランティアのどのような役割が実際に児童養護施設によって期待されているのかに関する全周規模の調査を実施した。その成果は、『子どもの虐待とネグレクト』誌(日本子どもの虐待防止研究会)に掲載された。また、ボランティア学生の事前研修および事中研修の参考として、アメリカのチャイルドライフというプログラムを導入しているが、それに関する論文も『人間発達研究』誌に掲載した。3年間にわたる試行的実践内容に関する諸資料および本助成を受けて刊行した4本の論文を含めた報告書(簡易製本)を2004年3月8日に完成させた。
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