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2002 年度 実績報告書

幼児期における「想像上の仲間」の実態とその発達的規定因を探る

研究課題

研究課題/領域番号 13871020
研究機関京都大学

研究代表者

遠藤 利彦  京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (90242106)

キーワード想像上の仲間 / 幼児期 / 親子関係 / 面接調査 / 関係補償機能
研究概要

「想像上の仲間(imaginary companion)」とは、主に幼児期の子どもが空想裡に作り上げ、日常の遊びの中の種々の状況において、リアルに相互作用する対象のことを指して言う。それは、ぬいぐるみや玩具などの具体的な見立ての対象がある場合の"personified object"とそうした具体的対象がなく、他者が感知し得ない"invisible companion"の2種に大別することができる。これらの際立った特徴は、その場限りの一時的な単なるふりや見立てとは異なり、子どもの日常生活において相当に長い期間、持続的・断続的に登場し、なおかつ子どもによってかなり一貫したパーソナリティや心的状態を帰属されるという点である。昨年度は養育者に対する大規模な質問紙調査を行い、その実態と発達的規定因について興味深い知見を得た訳であるが、それはあくまでも養育者が把捉する限りの「想像上の仲間」についてであり、子ども自らの主観的意識の内実に踏み込むものではなかった。そこで今年度は「想像上の仲間」を明確に有する31人(平均年齢4歳9か月)の子どもとその母親に対して、直接インタビューを試みた。結果として印象的であったのは、母子によって「共有された想像上の仲間」と「隠れた(あるいは子どもが意図的に隠した)秘密の想像上の仲間」が存在し(母親が感知する想像上の仲間とまったく別の対象を子どもがインタビューアーに告白するケースが複数あり)、両者の別を分けるものとして、養育者の想像上の仲間に対する潜在的な態度の関与が想定されたということである(親が否定的態度を有すると想像上の仲間は隠匿されやすくなる)。また、想像上の仲間は子どもが1人で過ごす必要のある時と場において頻繁に登場し、幼稚園などに入園し、現実の仲間と相互作用が密になると消失する傾向が顕著であった。これは、想像上の仲間が、幼児期において、対人関係の補償機能を果たしていることを示唆するものと考えられる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 遠藤 利彦: "発達早期における情動の役割"教育と医学. 50. 29-37 (2002)

  • [文献書誌] 遠藤 利彦: "感情はどう育つか"児童心理. 774. 117-123 (2002)

  • [文献書誌] 遠藤 利彦: "三歳児神話の陥穽に関する補足的試論・私論"ベビーサイエンス. 1. 66-67 (2002)

  • [文献書誌] 遠藤 利彦: "パーソナリテイ発達研究の現況と課題"児童心理学の進歩. 43(印刷中). (2003)

  • [文献書誌] 遠藤 利彦: "生涯発達心理学"放送大学教育振興会 (小嶋秀夫・やまだようこ編). 232(50) (2002)

  • [文献書誌] 遠藤 利彦: "心理学の新しいかたち (「問いを発することと確かめること」)"誠信書房 (下山晴彦・子安増生編). 275(40) (2002)

  • [文献書誌] 遠藤 利彦: "感情と心理学 (「発達における情動と認知の絡み」)"北大路書房 (高橋雅延・谷口高士編). 250(40) (2002)

  • [文献書誌] 遠藤 利彦: "教育心理学ハンドブック (「最近の研究動向:発達」)"有斐閣 (日本教育心理学会編). 297(11) (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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