研究課題/領域番号 |
13871025
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 信 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20164436)
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研究分担者 |
久保山 裕史 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 研究員
山本 伸幸 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (90284025)
柴崎 茂光 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90345190)
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キーワード | 山村 / 地域 / 自殺率 / 自殺予防 / 高齢者 / 生きがいづくり |
研究概要 |
本年度は東日本山村を対象とし、青森県、岩手県、秋田県において調査を行い、自殺の実態及び予防活動の現状を把握した。青森県では、日本海側の津軽地域に比べて太平洋側の南部地域の自殺率が高い。特に岩手県と接する八戸地域で高いため優先して自殺予防活動に関連した施策を進めており、名川町では、全県での取り組みに先んじて平成11年から高齢者うつ病の対策等の事業が始められている。県では13年度から心のヘルスアップ事業として、実態調査、講演会、医師研修会等が行われている。当初は高齢者の自殺対策が中心だったが、14年度からは中高年男性に重点を置き産業保健に力を入れている。岩手県では、山村地域で自殺率が高い傾向があり、宮城県側の伊達地域では自殺率は全国平均と同程度であるのに対して青森県側の南部地域で自殺率がきわめて高い。久慈保健所では地域課題調査研究事業において自殺の問題を設定し、12年度から3年間事業として、心の健康に関する調査、講演会、市町村保健師のワークショップ等を行っている。秋田県では、自殺予防活動を継続していても依然として自殺が増加傾向にあることが問題となっているが、速効を期待できる事業ではないので今後も粘り強く活動を行っていく姿勢である。予防モデル事業は4つの町で進められ、先行する合川町では高齢者の生きがいづくり、仲間づくりなどに効果が現れ始めている。今後は県主導よりも、市町村や、より小さい単位での活動を支援する方向へと政策を移行させていく予定である。3県での聞き取りから、自殺の地域差は旧藩時代からの地域枠組みと関連があることが示唆された。地域における予防活動では、担当者となる市町村保健師の負担が大きい現状があり、県や保健所等による支援体制の確立が求められる。以上の知見を活かして、今後は西日本山村における自殺の実態を明らかにし、対策を検討していきたい。
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