本研究の目的は、社会学における量的・質的調査データやルポルタージュ等の二次分析によって、社会学的な理論開発を進めるべく、それらデータ・資料の社会学的解読を直接的な目的とする数理モデルの構築をはかることにある。本プロジェクト初年度となる平成13年度は、社会調査においてしばしばみられる複数回答(典型的には質問紙調査の複数選択設問だが、構造化されたインタビューでも類似の設問様式がみられる)に焦点をおいた。複数回答の設問は通常、「あるイシューに関して不可欠な項目は何か」という一般化された問いの形に置き換えられる。そこで回答者の反応に関して一定の仮定をおきながら、ブール代数アプローチを応用し、複数回答における論理構造を把握するための分析モデルを開発した。また、その分析プロセスの妥当性を増すための統計学的検定法を考案した。それによって、従来の統計分析では困難だった複数回答データの奥深い分析が可能になった。
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