研究概要 |
1.平成13年度の本研究では、米国カンザス州カンザス大学で学術論文の文献研究を行った。情報検索データベースsilver platterのsocial work abstractsで検出された、1985年から2000年の間に公刊された85本のストレングス視点による実証研究に関する文献を元に、ラップ(Rapp, C.)やサリービー(Saleebey, D.)の先行の文献を中心に援用し、ソーシャルワークの理論体系におけるストレングス視点の概念の整理を行い、その結果を日本社会福祉学会で発表した。 2.米国の文献から、ソーシャルワークのアセスメントにおけるアセスメントの原理、クライエントの状況の捉え方、クライエントとの会話の形体、アセスメントの焦点、援助実践のかかわり方、アセスメントの本質、クライエントの「行動」の意味解釈、クライエントと援助者の関係、専門家の役割等の各比較項目について、ラップの説とタイス(Tice, C.)&パーキンス(Perkins, K.)の説を中心に、ストレングス視点と病理的・診断的視点の双方について、比較検討を行った。 3.更に、米国の文献を縦断的にレビューし、福祉ニーズを持つさまざまな対象人口に対してソーシャルワークを行う際に、サリービーの説の6つの概念要素(1.エンパワーメント、2.地位・資格、3.回復力、4癒しと心身の総体性、5.対話と協同、6.不信の停止)のうち、ストレングス視点による実践方法の中で最も重要とされる前提概念を考察し、ソーシャルワーク実践の可能性を探求するための基盤とすることとした。
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