研究課題/領域番号 |
13871030
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
山田 裕子 同志社大学, 文学部, 助教授 (80278457)
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研究分担者 |
武地 一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10314197)
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キーワード | 痴呆 / もの忘れ外来 / 家族介護者 / ローカスオブコントロール / 介護価値 / NPI / 痴呆の知識 / 施設入所 |
研究概要 |
本年度は引き続き京大病院もの忘れ外来での早期痴呆の患者とその家族への支援を中心に、関連領域にも拡大し実行した。研究は大きく次の5つに分かれる。1)介護者に対するインテンシヴなアンケート調査、2)痴呆患者へのライフヒストリーの聞き取り調査、3)患者、家族への並行的支援の時系列分析、4)痴呆の病名と予後の告知の調査研究、5)在宅患者の施設入所に際しての家族支援研究。1)のアンケートは、47名の外来患者の家族に対し行い、「介護価値」、「Locus of Control」、「NPI」の3つの新しい概念を加え、分析を試みた。「介護価値」は介護者の負担感に加え、痴呆の受容や介護への適応を測るよりポジティヴな指標も必要、「Locus of Control」は介護者の性格や世界観などが介護への取り組みや負担感に影響を与える、さらに「NPI」は問題行動の痴呆症の進行プロセスによる変化、とのそれぞれの問題意識に基づく。それらと、痴呆高齢者の症状や問題行動、必要とされる介護量、介護者の属性などの心理社会的要因との関係を調べた。2)では、介護者アンケートと同時進行で行ったが、介護者も、又医師やソーシャルワーカー、看護師など毎回の診療で接するスタッフも知らない話が聴取でき、痴呆患者の回想能力について、新たな知見が付け加えられた。3)については、診療記録及び支援ノートの分析を進めている。4)は、外来患者家族に対して実施し、分析中だが前年度の一般高齢者との比較により、興味深い結果を得つつある。5)は、外来患者の何割かは、病気の進行に従い在宅での介護が様々な事情で不可能になり、グループホームやその他の施設に移ることになるが、その際の援助に資するものとして、L.White & B.Spencerの「Moving a relative with Memory Loss」の翻訳を行い、家族にも貸与した。校正を経て、秋に出版予定である。 本研究は臨床研究であり、研究の成果の発表にはタイムラグが伴うが、その知見は毎週のカンファレンスでon-goingでスタッフに分かたれ、多面的かつ複雑な痴呆介護への有効な支援や介入の開発に資すると信じる。6月の日本老年医学会に、4件の発表申し込みをしている。
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