本研究は、アフリカ地域の教育発展の歴史と現状を経済・社会・文化的側面から包括的に考察し、当該分野の国際協力に新しい展望を開くことを目的としている。第1に、これまで「アフリカ」と一般化されることの多かったサハラ以南アフリカ49カ国の教育の停滞や発展をもたらした因子を経済・政治・社会的観点から分析し、教育発展の過程を類型化する。第2に、国際協力の構造と特質を解析し、将来展望を検討する。最後に、政策科学、比較教育学的手法により、教育協力の最適モデルをニーズの高い初中等教育段階の理数科教育と女子教育に重点を置き模索する。 第1年目の平成13年度は、準備段階としてアフリカの教育全般の発展過程を統計的に把握すると共に、教育課題の改善策と国際協力の事例に関する文献を批判的に検討した。アフリカの教育開発の歴史と経験を教育段階別、男女別の就学率や就学者数といった教育指標をもとに、統計的方法で解析・類型化を試みた。 第2年目の平成14年度は、13年度に整理したアフリカ諸国における教育発展の中で、特に理数科教育と女子教育がどのように位置づけられ、いかなる発展をしてきたかを考察する。次に、日本の教育協力が本格的に行われているガーナ、ケニア、南アフリカを事例に取り上げ、プロジェクトの形成から実施にいたる過程を比較考察する。特に、各プロジェクトが地方部での学校レベルの授業改善にどのような効果があるのか、という観点から検討する予定である。
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