本研究は、アフリカ地域の教育発展の歴史と現状を経済・社会・文化的側面から包括的に考察し、当該分野の国際協力に新しい展望を開くことを全体目的としている。アフリカ諸国における教育の停滞や発展をもたらした因子を経済・政治・社会的観点から分析し、国際協力の構造と特質を整理しつつ、その将来的な展望を検討してきた。平成15年度は、本研究の最終年度として、日本がどのような協力をすることがアフリカの国々に根づき役立つのか、それらの国々から短期的に喜ばれるだけではなく、長期的視野から総合的に日本の協力の方向性や具体的方法を多面的に模索した。 特に、ケニアをケーススタディとして行なった、初等学校における留年と中途退学の問題、および無償化政策実施に伴う課題と問題分析は、国際開発学及び比較教育学のそれぞれの分野において学会誌に収録されることとなり、研究成果に対する高い評価を得ることが出来た。前者は、アフリカにおける学校レベルの進級構造の分析であり、これまでのマクロな統計分析とは異なる構造を見出した。後者は、初等教育無償化に伴う外国援助への依存の高まりと教育の質の低下について議論した。 これらの成果を基礎とし、アフリカの自立に寄与する、アフリカにおける日本の比較優位を生かした教育協力のモデルを今後さらに発展させて行きたい。
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