家族介護者の介護力の構造と変化に関連する要因について明らかにし、生涯教育的な視点から分析するために、以下の資料を収集した。現在、各資料を整理し、分析を行っている。 1、在宅で介護を行っている家族介護者の抱える困難や課題について、その実態と経年的な変化を把握するために、家族介護者や要介護高齢者を対象とした実態調査報告書を検索し、収集した。入手した報告書は、社会福祉協議会や家族会などによって1967年から2001年までに実施され、発表された66編である。 2、痴呆高齢者の介護は、介護期間が長期にわたることや、知的機能の低下と身体的機能の低下が必ずしも一致しないこと、痴呆の進行に応じて必要な介護方法が異なるなど、家族介護者にとって介護を継続していくうえで困難を生じる要因が多い。「呆け老人を抱える家族の会」は1980年の会の発足以来、多くの困難を抱える家族介護者を支援する様々な活動を行ってきており、本部および各都道府県毎にある支部で組織されている。また、会員は毎月1回届く会報によって、痴呆介護に関する多くの情報を入手している。この会報の内容と家族介護者に対して提供してきた情報の経年的変化を分析するために、会報(全国版)を創刊から現在までの全260号を入手した。また、会員にとって身近な組織であり、例会等の活動に直接参加する機会の多い各支部が発行している会報(地方版)の特長を分析するために、高知支部版と福岡支部版を入手した。 3、家族介護者の介護力の変化と変化に関連する要因を分析することを目的に、痴呆高齢者を介護した経験のある家族を対象として、個別的に質的な面接調査を実施した。面接対象者は、「呆け老人を抱える高知家族の会」世話人を通して紹介を受け、面接の同意が得られた16人である。現在、15人に対して面接が終了している。
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