平成14年度は、京阪式アクセントと垂井式アクセントが接する兵庫県飾磨郡夢前町・同宍粟郡安富町・姫路市林田町で予備的調査を実施した。調査の概要は下記の通り。 調査語彙:2拍名詞22語、3拍名詞3語 調査地点:104(夢前町71地点、安富町17地点、林田町16地点) 話者:各地点高年層男性1名 調査者:都染直也および甲南大学学生 調査の結果明らかになったことは次の点である。 (1)夢前町には「京阪式アクセント」「垂井式アクセント」が分布する。その分布の概略は、町役場のある前之庄地区、東南部、及び南西部が「京阪式アクセント」、北部及び北西部が「垂井式アクセント」である。なお、旧菅野村地域では、北部が「垂井式」、南部が「京阪式」で、この境界は当時からの小学校校区(北:上菅小学校、南:菅野小学校)と一致することが分かった。 (2)安富町・林田町は全域が「垂井式アクセント」である。 (3)調査語彙の中で2拍名詞5類の語が少なかったために、3町内での「垂井式アクセント」の相違(いわゆるA型B型C型)については明白にすることができなかったが、「無い」のアクセント型については「夢前町[●●]VS安富町・林田町[●○]」という対立を確認した。 調査結果の一部については、言語地図を作成し、他の語彙項目とともに刊行した。
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